江戸時代、様々な生活道具となって裕福な人々の暮らしを彩った「びいどろ・ぎやまん」。瓶泥舎コレクションには、江戸文化を想像させるたくさんの道具が現存しています。目にうるわしい、遊びごころいっぱいの道具は、今では見ることのできなくなった日本の手わざを再認識させてくれます。
ぬくもりのある色、やわらかな形。日本のガラス製法の中で、自然素材や天然鉱物から生まれた独自の色彩は、光を通すガラスでしか表現できない魅力に満ちています。自然をモチーフにした吹きガラスの形や紋様は、やさしくおおらかで、日本情緒あふれる感覚がうかがえます。
中国においては、筆・硯・紙・墨をもって「文房四宝」と尊び、鑑賞の対象にまで高められていった文房具。日本では江戸中期から後期にかけて、茶会の席で文房具を飾る「文房飾り」が流行しました。洗練された工芸品を求める文人趣味の茶人にとって、ガラスの切子文房具はさぞ新鮮に映ったことでしょう。文房具をはじめ珍しい作品がずらりと並んだこの展覧会で、精微な切子の世界をお楽しみください。
瓶泥舎コレクションによる、めくるめく酒器の世界。趣向を凝らした徳利、酒次として生まれた急須やちろり、一脚で独立した杯もあれば、並べて楽しい数物の盃もあります。同時開催の「明治大正ガラス展」では、江戸時代に始まった日本のガラス製作が、いかに新しい時代へと受け継がれていったか、作品を通して伝統の継承をご覧いただくことができます。