瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館|愛媛県松山市。和ガラスの展示、企画展。

びいどろ・ギヤマン展ー日本の美・くらしの器 令和6年4月27日(土)~

中川浄益 八角二段食籠(じきろう)
底に刻まれた「浄益造(花押)」の文字から、千家十職の一人で金工師の中川浄益家、八代目(1830-70)作とわかる。二段目の底に嵌め込まれた赤色の板ガラスは輸入物であろう。
江戸時代、「びいどろ」「ギヤマン」と呼ばれた和ガラスは、宴の席を涼やかに演出し、洒落者の装いや嗜みに華を添えました。茶席の菓子器。徳利と盃。秋の虫聴きに使われた虫籠。貴人の持ち物であったろう櫛。食のうつわをはじめ、住まいの道具や装身具など、美しく洗練されたガラスが並びます。

 

 

  • 徳利の形はヨーロッパの角瓶を意識したものだが、金で描かれる蒔絵の景色は実に日本的。松林を抜け、橋を渡った先には、鳥居を構えた神社が雨風に打たれている。

  • 鶴が大きく羽を広げ振り向いた様子を表現したのか。金色をおびた江戸ガラス独特の黄色に、美しい雲鶴紋が浮かび上がる。元はガラス製の蓋付だったと思われるが、後世の持ち主が仕立てたのか、現在では木製の蓋がかぶさる。

  • 金地の硯箱の表面を装飾する色とりどりのビーズは非常に小さく繊細で、直径2㎜に満たない。 蓋を開けると、黒漆、朱漆、金蒔絵で山水人物図が描かれている。

  • 置物や文鎮などの意匠として、兎は当時の人々に人気があった。大きなガラスの塊を最小限の切子で表現しているが、足先や耳の細部に至るまで抜かりがない。後ろ姿も愛嬌たっぷりだ。

※会期中、一部展示替えを行う場合があります。